中野こども病院 小児外科 

>>トップ   >>医師編  >>家族編  >>病院紹介  >>著者紹介 

このページは医師への説明です。ご家族への説明はこちらをクリック。

肛門周囲膿瘍、乳児痔瘻

治療方針:男児の病気。生直後から2歳くらいまで。 まずは外来で切開。以後家で膿を絞り出して貰う。投薬、消毒、手術は不要。気長につきあう。下痢時に悪化。

 全例男児である。生直後からおこりうる。乳児痔瘻は大体次のような経過をたどる。まず肛門周囲皮膚に膿瘍が形成される。赤く腫れ痛がる。ついで膿が排泄する。以後、膿瘍形成、膿排泄を繰り返しなかなか治らない。
 乳児痔瘻の名の如く、成人の痔瘻とは異なり手術が必要になることはまずない。。乳児痔瘻はほぼ全例が自然治癒する。但し治癒までの経過は長く、1年くらいかかることもある。気長につきあうことが肝要である。1歳までに90%が治癒する。


治療
自然経過にまかせること。
1)初回来院時の切開は必須である。
2)以後、家で母親に硬結をしぼって膿を出してもらう。
3)それ以外は普通の生活をさせる。入浴もOK。
4)抗生剤や消毒は不要である。頻回の通院も不要。痔瘻の根治術は不要。
5)下痢時に悪化する。早めに離乳食に移行するのも一手段。

 よく抗生剤が使われるが、抗生剤の内服は、軟便・水様便となり、痔瘻を悪化させる事に留意すべきである。私は内服抗生剤は使わない。蜂窩織炎がひどい場合は、入院させて点滴抗生剤加療する。
 痔瘻周囲の硬結の消長が治癒の目安となる。硬結が残っている場合はまだ再発する。硬結がなくなれば治癒は近い。

 年長児の場合
2歳過ぎても治らない場合は、非常に治りが悪い。
選択として次の二つがある。
1)漢方治療。
2)手術治療。
小児外科医にコンサルトすべきである。


 参考文献:

中野こども病院 小児外科 松川泰廣

copy all right reserved (c) 2015. Medical Design Works