中野こども病院 小児外科 

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陰唇癒合

ポイント:見過ごされていることが多い。乳児健診で見つけよう。治療より予防。

女児の小陰唇癒合である。陰唇癒着症ともいう。 Leung(1991)の報告にあるように新生児は全例開存しており、陰唇癒合は先天性の疾患ではなく後天的な疾患である。陰唇癒合の原因は、湿潤環境、低エストロゲン状態、感染による二次的な癒着である。

陰唇癒合は乳児健診で見つけるべき疾患である。
 陰唇癒合に関しては多くの誤解がある。小児科の外来でときどき偶然に発見される程度と思われているが決してそうではない。むしろ、頻度の高い新生児、乳児疾患と考えるべきである。北野病院で11ヶ月間に36例の紹介があった。内訳は、3ヶ月健診での発見が19例、6ヶ月健診が15例、1歳以上が2例であった。全例が尼崎市の保健センターからの紹介で、同センターで熱心に、積極的に検診時に診察されている結果であった。これから、生後3ヶ月以内にすでに陰唇癒合がおこると考えられる。

3ヶ月健診
19例
6ヶ月健診
15例
1歳以上
2例
(北野病院11ヶ月間)
36例


陰唇癒合の治療
 切開かエストロゲン軟膏(日本では製剤なし)塗布である。外来で容易に切開できる。が、再発しやすい。特に切開直後は再癒合しやすく、母親に開大、消毒、清潔を指導し、医療施設で厳密にフォローすべきである。私は1週間後に来院させ、開いていることを確認、以後は母親による日常的な開大を続けて貰っている。

陰唇癒合は、治療よりも予防が大事である。

 新生児期の保健指導が全く欠けている。赤ちゃんの産科からの退院時に、母親に、陰唇癒合の可能性を話し、局所の清潔、開大を指導すべきである。


 参考文献: 
 松川泰廣他: 尼崎市で多数発見された陰唇癒合について.日小外会誌 41: 693, 2005.
 松川泰廣 他: 乳児早期の陰唇癒合.日小外会誌 44: 655-660, 2008.
 松川泰廣: 乳児に陰唇癒合がどうしてきたしやすいの?.小児外科 41: 1349-1352, 2009.
 松川泰廣: 小児外科医Dr.まつかわの母親が気づきやすい気にしやすい子どもの病気と対応 陰唇癒合. こどもケア 6(2): 102-106, 2011.

中野こども病院 小児外科 松川泰廣

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