中野こども病院 小児外科 

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裂肛、見張りいぼ

治療方針:ほぼ女児の病気。生後7ヶ月から3歳まで。便秘が原因。手術不要。痔疾軟膏と便秘の治療。

 ほとんどが女児。原因は便秘である。便秘にともなう硬便排出が原因である。年齢は生後7ヶ月頃から2歳くらいで、3歳以後は少ない。男児にもみられるが、80%は女児である。生後7か月頃、離乳食が確立し便が硬くなる時期に発症する。硬便で肛門が切れて、まず裂肛を形成する。裂肛の慢性刺激で反応性に皮膚が増殖したものが見張りいぼである。多くは肛門の12時方向であるが、6時方向の腫脹をきたすこともある。
 切除依頼で小児外科に紹介されることがあるが、これは手術対象ではない。肛門を開き裂肛を確認して診断する。便秘→硬便→裂肛形成→痛み刺激→排便をこらえる→さらに便秘というサイクルで悪くなる。治療は痔疾軟膏の塗布と、便秘の治療である。
抗生剤軟膏は無効である。便秘をコントロール出来て、軟便が続くようになると、1ヶ月程で裂肛部分に皮膚がはれば見張りいぼは縮小を始める。見張りいぼが完全に消失するまでには半年から1年かかる。その間に硬便の排出があればふたたび、裂肛を来たし、見張りいぼの再腫大がおこる。裂肛が治っても便秘の治療を続けることが肝要である。
 手術は不要。


参考文献:
 松川泰廣:  便秘を主因としてきたす疾患 とくに裂肛.小児外科 32: 329-334, 2000.
 松川泰廣他: 新生児肛門部隆起性病変12例の検討.日小外会誌 39: 569, 2003.
 松川泰廣: 小児外科医Dr.まつかわの母親が気づきやすい気にしやすい子どもの病気と対応(第2回) 小児の便秘. こどもケア 6(3): 97-102, 2011.

中野こども病院 小児外科 松川泰廣

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