中野こども病院 小児外科 

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裂肛(れっこう)、見張りいぼ

うんちのときに痛がる女の子、肛門にできもの?便に血が付いている?

 

どんな病気?救急にとびこむお母さんもいます。  

 赤ちゃんで、離乳食がすすんできた生後7ヶ月頃から、うんちのときに痛がる子がでてきます。おしりを見ると、肛門の前側(時計でいうと12時の方向)に痛そうなできものが出来ています。便に血が付いていたりします。お医者さんにゆくと、はれているからと抗生物質の軟膏を出されたり、痔といわれて痔の軟膏を出されたりします。でも、なかなか治ってゆきません。悪性のできものかもしれないといわれて外科や皮膚科に紹介されたりすることもあります。こんな時はどこを受診したらいいのでしょう?
 この病気は、手術すべき病気ではありませんが、ぜひとも小児外科を受診して下さい。

ほとんどが女の子

 男の子にもおこりますが、ほとんどが女の子です。女の子は男の子に比べて便秘傾向が強いようです。離乳食の確立する7ヶ月頃から4歳までにみられます。

おしりをよく見てみましょう

 おしりをよく見てみましょう、肛門を左右に開いて痛そうなできものを開くと、肛門が切れているのが見えます。肛門の12時方向、ついで6時方向にみられます。

原因は便秘です

 これは、実は、痔なのです。痔は痔でも、いぼ痔ではなく切れ痔なのです。もともとの原因は便秘です。お母さんによく聞いてみると、便秘で3−7日に1回しか便が出ないとか、硬いころころした便しかでないとか、うんちのときにきばっている、とかおっしゃいます。便秘で便が硬いため、肛門が切れ(これを切れ痔、正式には裂肛といいます)、その刺激で切れ痔のまわりの皮膚がはれてくる(これを見張りいぼ、といいます)、お母さんは、このいぼを見ているわけです。便秘→硬便→裂肛形成→排便時の痛み→便をこらえる→さらに便秘、というサイクルでどんどんひどくなります。3cmほどの巨大な腫瘤をつくった子を見たことがあります。原因は便秘です。

治るんですか?

 痔の軟膏だけでは治りません。痔の軟膏に加えて、便秘の治療が必要です。下剤で毎日きちんと軟らかい便が出るよう排便のコントロールをしなければなりません。軟便になって刺激がなくなれば、見張りいぼは消失します。痔の軟膏と便秘の治療でこの病気は必ず治ります。手術すべき病気ではありません。治療が効くと裂肛は早めに治りますが、いぼが小さくなるにはしばらくかかります。便秘はずっと続きます。便が硬くなるとまた切れて再発します。ということで、こういうお子さんは、裂肛が治った後も、便秘の治療を続けています。


中野こども病院 小児外科 松川泰廣

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