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陰嚢水腫、Abdominoscrotal hydrocele (ASH) | |
治療方針:1歳までは手術しない。1歳すぎると不変で、外観を治すには手術が必要。 発生および病態 水腫と鼠径ヘルニア 水腫は完成された病態であり、水腫から鼠径ヘルニアになることはあり得ない。水腫と鼠径ヘルニアの合併はありうるが、私の観察からは、水腫と鼠径ヘルニアの合併例はごく稀にしか見かけず、臨床的には別々の疾患と考えてもいいくらいだ。 陰嚢水腫と精索水腫 以前は、精索水腫ではヘルニアの合併が多いという説もあったが、私の臨床的観察からはそういう傾向は全くない。陰嚢水腫と精索水腫の差は、 鞘状突起の閉鎖が起こった部位の違いのみで、臨床的な差異はほとんどないと考える。 水腫は、1歳までは95%は自然治癒する。 1歳以後になると自然治癒の傾向は乏しい。 治療 保険の請求項目には未だに水腫穿刺排液という項目があるが、水腫が内容液の穿刺排液で治癒することはない。排液後すぐに液が再貯留する。万が一、水腫と鼠径ヘルニアが合併した例では穿刺は腸管損傷の危険がある。水腫の穿刺は禁忌と考えるべきである。 手術 水腫の治癒とは、(少なくとも小児では)、水腫そのものが閉鎖することではなく、ミクロレベルの鞘状突起の開存が閉鎖し、水腫と腹腔との交通がなくなることである。水腫に全く手を加えず、腹膜鞘状突起を中枢で結紮切離するだけで治癒する。 Abdominoscrotal hydrocele (ASH)) 最近、陰嚢水腫あるいは精索水腫の上縁が腹側までのびた、Abdominoscrotal hydrocele (ASH)という病型が注目されている。ごく最近まで非常に稀な疾患とされていたが、私は、10年で30例近く経験しており、日常的に見逃されているだけで、決して稀な疾患ではないことを報告してきた。手術法や病態に関しても報告してきた。文献を参考にして頂きたい。 |
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参考文献: |
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中野こども病院 小児外科 松川泰廣
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