陰嚢水腫いんのうすいしゅ | |
タマタマが大きい?・・・インノウスイシュといわれたのですが? |
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鼠径ヘルニアと水腫、見かけはよく似ています 男の子で、タマタマの袋(陰嚢部)が大きい子供さんをときどき見かけます。ふたつのことが考えられます。ひとつは鼠径ヘルニアで、もうひとつは陰嚢水腫です。鼠径ヘルニアは、腸が出てきて危険な病気で、見つけ次第手術すべきです。これに対し陰嚢水腫は、陰嚢部に水がたまっている病気で、体には害がなく見ていてもよい病気です。 赤ちゃんの水腫は、1歳までにほとんど治ります 陰嚢水腫は何歳でもみかけますが、生まれたての赤ちゃんや乳児期には特に多く、乳児健診で指摘されることがよくあります。水腫は放置しても体に害はありません。1歳までは95%が自然に治りますので何もせずにみています。しかし、水腫か鼠径ヘルニアかの診断は意外と難しいようです。まれですが水腫とヘルニアとが合併していることもあります。陰嚢水腫といわれたら、正確な診断をつける意味で、小児外科を受診されることをおすすめします。陰嚢水腫から鼠径ヘルニアになることはまず考えられません。 1歳以上になると、手術が必要 1歳以上になると自然に治ることは難しくなります。体に害はありませんが、美容的な意味では手術が必要になります。手術はソケイヘルニアとほぼ同じです。針で突いて水を抜くだけでは、1−2日で水がたまってきますので、全く意味がありません。痛い思いをするだけ損です。
実は、陰嚢水腫と鼠径ヘルニアとは、兄弟筋の病気なのです。厳密には病気とも言えません。誰でもなった可能性があります。少し専門的な事をお話しすると、これは胎生期、タマタマ(睾丸、最近は精巣といいます)が陰嚢内に降りてくる事と関係しています。この精巣下降のときに腹膜のでっぱり(これを腹膜鞘状突起といいます)ができます。これが腹腔内と交通したまま大きく開いて残っていているのが鼠径ヘルニアで、途中くびれるようにくっついてその末梢が袋状に残ったのが陰嚢水腫なのです。陰嚢水腫と鼠径ヘルニアの図を比較して考えてみて下さい。でも、こういってもわからないでしょうね。筆者の外来では、アニメーションでわかりやすく説明しています。 他に陰嚢がはれる病気は? |
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中野こども病院 小児外科 松川泰廣
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