臍ヘルニアさいヘルニア | |
でべそ
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でべそと5円玉 でべそといえば、懐かしい響きですが、お母さんにとっては大変です。赤ちゃんで臍(へそ)が飛び出ている。乳児健診では、そのうち治るといわれたけれど、どんどん大きくなってくるようだし、泣くと、きんきんに張って破れてしまうんじゃないかと思う。一生この子はこんなのだろうかと心配で仕方がない。昔は5円玉で押さえて治したよ、などと、おばあさんからは言われる。でもまずは安心して下さい。臍ヘルニアはほとんどが自然に治ります。 どうしてでべそに? 臍は神様が作った自然のくぼみです。赤ちゃんが産まれて、へその緒(臍帯)を切りますね。へその緒は、急速に縮んでいって一点に集まって臍になります。皮膚も、筋肉も、腹膜もひとつにくっついて臍になるわけです。だから臍はへこんでいるのです。よく考えてみてください、人の体でへこんでいるのは臍だけですね。生まれたての赤ちゃんに、でべそはありません。へその緒が縮んでゆく過程で、筋肉(正確には筋膜)がくっつかずに穴ができて、そこから腸が飛びだすのが臍ヘルニアです。だからはっきりしてくるのは、生後1ヶ月すこし前くらいです。1ヶ月健診でいわれることが多いですね。 どんどん大きくなるようだけど治るの? お母さんの意に反してその後しばらくどんどん大きくなる傾向があります。でも4ヶ月くらいになり、赤ちゃんが、寝返りや、はいはいを始める頃になると、急速に小さくなります。日1日と縮んでゆきます。左右の腹直筋が発達してきて筋肉の穴をふさぐのです。1歳までに95%くらいは自然に治ります。 危険はありません 臍ヘルニアは、ソケイヘルニアと違って、腸が腐る危険はまずありません。また、どんなに大きくても皮膚が破裂することもありません。この点からは、臍ヘルニアは様子をみていてもいい病気です。見つかったらまずは小児外科に見せて下さい。われわれは、1歳までは何もせずにみています。以前は、硬貨で押さえたり絆創膏固定したりしましたが、皮膚がかぶれたり臍がうんだりするので私はあまり勧めしませんが、最近、へそのかたちをよくする意味で絆創膏固定を再び奨励するドクターもいます。 1歳がめどです 残念ながら、1歳をすぎると、穴が自然に閉じることはありません。皮膚が変に余った形で治ってしまう子もいます。1歳すぎるとかたちは変わりません。かたちを治すためには手術が必要です。 臍を作るのは結構難しい 筋肉の穴を閉じるとともに臍のへこみを人工的に作る手術をします。へこんだ臍を作るのは結構難しいんですよ。われわれもかなり工夫をこらした臍形成術をしています。臍の中で切りますので傷は残りません。是非小児外科に相談して下さい。 |
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中野こども病院 小児外科 松川泰廣
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