鼠径ヘルニアそけいヘルニア | |
泣くと腫れる・・・脱腸(だっちょう)ですね | |
鼠径ヘルニアはよくみられる病気です 脱腸(正式にはソケイヘルニア)は、泣いたり、きばったりしたときに左右の股の部分がふくらむ病気です。子供ではポピュラーな病気で、赤ちゃんの30人にひとりはソケイヘルニアがあるといわれています。男女いずれでもおこります。男の子では陰嚢までふくらむこともあります。ふくらみは必ずわかります。左と右を見くらべると明らかにふくらんでいますし、さわるとぽっこりしたものが触れます。わからないことはありません。 腸が腐る危険があります ソケイヘルニアはみつかり次第手術をすべき病気です。なぜか?それはかんとん(嵌屯)をおこすからです。嵌屯とは、腸管や卵巣が飛び出して戻らなくなる状態をいいます。腸管が嵌屯すると、まず赤ちゃんは不機嫌になり泣きます。おむつをかえるとき見ると、ソケイ部が腫れて触ると痛がります。ついで腸管が締めつけられ腸閉塞になり、お腹がはってきてミルクなどを嘔吐しはじめます。赤ちゃんはグタッとして元気がなくなります。さらに時間がたつと腸管は血行障害をおこして腐ってしまいます。腹膜炎になり、このままでは赤ちゃんは大変です。緊急手術が必要です。それも時間との勝負で、早ければヘルニア手術だけですみますが、腸管が腐った後では腸管の切除も必要となります。嵌屯は突然おこり予防は不可能です。嵌屯後3時間ほどで腸管が腐ってしまったこともありました。 出来るだけ早く手術を受けましょう ソケイヘルニアのお子さんはなるべく早い時期に手術を受けられるようお勧めします。ヘルニアバンドは出ている腸を圧迫する可能性があり、かえって危険です。1歳までは自然治癒の傾向もありますがこの時期は嵌屯をおこしやすい時期でもあります。待つのは危険だと覚えておいて下さい。1歳をこすと自然になおることはまず期待できません。簡単な入院・手術ですみますし傷もめだちません。見つけ次第、小児外科医のいる病院を受診して手術をうけるのがベストと思います。 泣いたからなったわけではありません なぜソケイヘルニアになったのか?泣きすぎてなったわけではありません。 |
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中野こども病院 小児外科 松川泰廣
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